鮨大内さんから上等なサバの粗をいただいた。血合いとカマと額の肉の一部(?)は父さんもご相伴にあずかった。美味かった。
父さんは、母さんが作る「サバの味噌煮」が好物だ。味噌は「豆味噌」が良い。
母さんの作る「サバの味噌煮」を前にしたとき、作品「雁」を通じて、いつも森鴎外のことが頭に浮かぶ(彼に直接会ったことはないが)。天の悪戯と云うか、同じ時空を過ごしながら人々は互いに運命のズレを背負って生きている。お互いにその接点があるかどうかは時の運か偶然か、近代化される人間の意志もそこでは翻弄される。鴎外にとって、医学生として軍人としてドイツで体験した、人の世の宿命か諦めか、、「舞姫」での心の重荷がここで開花(?)し吹っ切れる。そして「保守」「エリート」の弁明。それでも自分を正当化しようとしてしないところ、時代にたち向う姿勢(人への愛のもどかしさ)が、父さんは嫌いでない。「近代人として悩む」、、立ち場を代えて、漱石にもそれを感じる。日本人が乗越えるべき布石を置いてくれたことに感謝! 母さんの「鯖の味噌煮」との出会いにも感謝!
みかんに味噌煮は食べさせられないが、味噌抜きならOKだ。だから父さんは、みかんの為に「味噌煮以上に美味い、サバ煮」を作っている。これ、ハッキリ言って、美味すぎる。秘伝中の秘伝だ。青魚は食べ方の腕にすべてが委ねられる。
父さんにとって、みかんとの関係は「永井荷風の世界」の如くにありたいと、みかんには迷惑かもしれないが、勝手に願っている。
■鮨大内からいただいた、みごとなサバの姿骨。 ■鴎外の世界?漱石の世界?荷風の世界?
●サバの姿煮(?)
鯖のスケルトン、乾燥椎茸、乾燥まいたけ、切干し大根、高野豆腐、金芯菜、里芋、薩摩芋、ジャガイモ、牛蒡、人参、蓮根、南瓜、パクチー、大根、ドライ無花果、雑穀7種、アマランサス、五分つき米、オリーブオイル。
トッピングに胡桃。
※おやつに豚骨。