日本の農業は除草農業と云われて来た。悲しくも除草剤は未だにあちこちで使われている。612では草は極力抜かずに刈る様にしている。地中の微生物の生命環境を破壊しない為、そして保水の為、根っこは出来るだけ残しておく。その草刈りを畑でするときは頭が暇なので、いろんなことを思い出したり考えたりする。
30数年前、カトマンズからロンドンまでバスで旅をした。その途中、インド・ベナレスで観光客として沐浴を見に行った。聖なるガンジス、沐浴場と並んで火葬場がある。しかし金持ちしか使えず、横で割安であろう生焼けの火葬をやっていた。また水面をみれば布で繰るんで聖なるガンジスに水葬されるムクロもいる。そこまで至らず放置されている言わば風葬状態のムクロもいる。湿潤気候世界(ユーラシアでは、西はインド中部から、東は日本列島まで)においては、植物たちの種としての生命の復活再生力は強烈だ。ガンジスとプラマプトラ下流の洪水地帯になるとそれは最高潮に達する。植物生命の循環が旺盛だと動物の生命循環も数において旺盛だ。その地では生命の循環は目に見えて早い。それには人間の命も含まれる。「輪廻」はその世界の中で人間が当然に思いつく生命観であり宇宙観といえるだろう、と父さんはデリーからパンジャブ抜けてインダス川流域乾燥世界に入った時に気が付いた。そうして考えるとお釈迦様の到達した「解脱」と云う概念の先進性はスゴイ。そこにはアーリア人による先住民族に対する不条理な階層制度支配システム導入への抵抗もあっただろう。
、、、そうこう考えているうちに草刈り機の燃料がなくなって草刈りは終了した。
それにしても、畑で必要とされる草刈りにはきりがない。だんだんシシフォスの気持ちを思索する気分になって来る。父さんに解脱はまだ縁がないようだ。
草刈りが終わった跡を丸々と太ったオスの雉子が闊歩していた。まるでインドのクジャクのようだ。みかんは土の上でニルバーナのような昼寝。除草剤を使わないが故に成り立つ光景だ。
■威風堂々の雉子。美味そう。 ■昼寝の合間にお母さんと一休み
●鶏ひき肉ご飯
昨日と同じものに鶏ひき肉とオリーブオイルを添加